よつばと!

よつばと! (4) (電撃コミックス (C102-4))

よつばと! (4) (電撃コミックス (C102-4))

誰もが通りすぎたであろうことを淡々と描いている。そんな単純なことなのに、なぜここまで心を打ち、クスリと笑いつつも切なくなるのだろう。
よつばは周囲の大人達に愛されつつ見守られている。この時、子供は無敵である。もう俺達が帰れない無敵状態である。その子供が世界を広げつつある。夏の終わりを知り、つくつくぼーしが蝉なのを知り、失恋を擬似的に知り、蝉が死ぬのを知り・・・。その現実は子供にとって都合の良い事ばかりでないだろう。しかし周囲の大人達はその現実をやんわりと小さな子供に軟着陸させている。そんな見守られ方を永久に失った俺達はただただ傍観者になるだけである。壊れないことを祈りながら。
でも死んだ蝉に「おつかれさまでしたー」と言えるよつばには心配はいらないのかもしれない。むしろよつばに心配されてしまうのだろう・・・。よつばは成長している。よつばが台詞の中で初めて漢字を使った。それが「元気」なのは何かが良く表れている気がする。
4巻は失うことの心の準備をゆったりと進めているような気がする。あずまきよひこは間の取り方が本当にうまい作家だと思う。その余白に読み手の意志が介在することを許しており、重いテーマながら恩着せがましくないのは本当の意味で洒落ていると思うよ。
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