ロングロウ通信用原稿

●今サッカーを観ることができる幸せ●
 今、サッカーを観られる人は幸せである。BSやCSなどの衛星放送やケーブルテレビの普及によって主要海外リーグの試合も観ることができるし、またビデオやDVDの普及によって過去の名選手のプレイを観ることができるからだ。そして何より今、ロナウド・ジ・アシス・モレイラのプレイをリアルタイムで観ることができるからだ。
 ロナウド・ジ・アシス・モレイラと言われてもピンと来ない人が多いかもしれない。しかし「ロナウジーニョ」と言えばピンと来る方もいるのではなかろうか。ロナウジーニョとは「小さなロナウド」と言う意味である。ロナウドレアル・マドリッド)がすでにいるため区別のために付けられたのだ。ちなみにロナウドも94年W杯の時はロナウジーニョと呼ばれていた。
 ロナウジーニョはブラジル人が最も愛する、遊び心を持ったプレーヤーである。不思議なリズムのドリブルで敵陣を混乱に陥れ、決定的なラストパスで得点を演出する。そのプレイの一つ一つが幻想的なショーのようでさえある。バスケで良く観られるノールックパスを使い、エラシコポルトガル語で輪ゴムの意味)と呼ばれるフェイントで敵を翻弄する様を否定的に観ることができるのは、相手チームの熱狂的なサポーターのみであろう。そして何より彼の魅力は「サッカーが好きだ」という感情を全面に出している笑顔である。
 有名な話として、彼がFCバルセロナと契約した時のエピソードがある。ラポルタ会長のオフィスで契約書にサインした彼は、「会長はフットボールが好きですか?」と突然尋ね、近くにあったサッカーボールで会長と一緒にボール遊びを始めたそうである。
 どこかで聞いたような人物じゃなかろうか?・・・そうサッカー漫画「キャプテン翼」の主人公、大空翼は彼のような人物ではなかったか。今、我々はリアル翼を観ることできる。これは堪らない幸せではなかろうか。