ひきこもりに大流行の兆し インターネットゲーム

http://d.hatena.ne.jp/hatene/20040221#p3http://d.hatena.ne.jp/ninjin/20040222で知った下の記事。
http://www.mainichi.co.jp/life/kokoro/century/2004/0219.html
各所で話題になっているのもうなづけます。ネットゲームの問題点の一つに中毒性があり対処していかねばなりません。またひきこもりの若年層の多くがネットゲームをやっているのも事実だと思います。そこでひきこもりの研究をしている牟田武生氏が何故そんなに熱中するのだろうかという疑問の元にネットゲーム(多分ラグナロクオンライン)をやりはじめたのは解ります。しかしその結果が氏の言う所の「悪魔の心理」に至ったのであれば牟田武生氏は大きな勘違いをしているとしか思えないのです。

聖職者をめざしている私のキャラは、「非暴力・不服従」を心情にしている。そのため、戦わないから、価値のあるものをモンスターから奪えず、いつまでも初心者レベルから脱出できない。仕方なしに、ほかのキャラが戦って、物を奪い取った際、必要でないので捨てていったものを拾い集める人になった。拾い集めたものは、りんごや薬草ばかりで、このようなものをたくさん手に入れても、得点を稼げない。

RPGとはロールプレイングゲームの略です。決してレベルアップだけを目的にするゲームではない。とくにネットゲームでは従来のゲームに比べてそういうプレイを可能にする自由度があるものです。モンスターと戦わないで街で生産やサービスを提供して楽しんでいる人も大勢います。「得点を稼げない。」という書いてる時点で勘違いをしているとしか思えません。3ヶ月ゲームをやったと書いているがそれも眉唾ものです。ネットゲームの肝はコミュニケーションである事は氏も記事の中で書いていますが、ゲーム内で何が楽しいかという聞き取り調査をやったらこういう文は書けないでしょう。
ネットゲームの魅力は多くの所で「コミュニティの形成」だと言われています。友達がいるからやめられないなんて話は良く聞くものです。ゲーム内でアンケートをとってもそうなるのではないでしょうか。そこから幻想世界に入り込んでしまい現実社会を疎かにしてしまうという問題提起ならわかります。ゲーム会社も対策をかんがえていかねばならないでしょう。しかし「そこには、自分よりも力の弱い者を襲い、ストレスを発散する”悪魔の心理”があった。」なんて結論に至ったのには問題点の履き違えを感じてしまいます。どこかで聞いたような紋切り型の結論ではないでしょうか。決してネットゲームだけの問題点ではありません。たぶんそこから暴力表現は子供を暴力的にさせる→暴力表現は害悪→暴力表現を含むネットゲームは害悪としたいのでしょうがあまりにも陳腐な解釈だと思われます。また氏の提起した問題点は東京大学ゲーム研究プロジェクトでは暴力表現が与える影響は短期的な影響はあっても長期的な影響は確認されていない、もっと研究が必要*1とされています。ネットゲームとひきこもりという題名からこの手の話題にいくのは頭をひねざるをえません。
牟田武生氏は「ネットゲームと従来のゲームとの違いを理解してはいない」上に「エンターテイメントに対する考察ができていない」のではないでしょうか。
児童カウンセリングに必要なのは「親和的態度と受容的態度」なのだそうです。子供の心をつかむコツなのだそうです。その2つの態度はこの記事からは感じられません。
またこの記事を書いた牟田武生氏は「ネット依存の恐怖―ひきこもり・キレる人間をつくるインターネットの落とし穴」(ISBN:4316800744)という著作があります。何か「ゲーム脳の恐怖」と題名が似ていますね。